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YLÈVEが作るのは、着る人なりの個性を引き立てる余白のある服。
クラシックなメンズウェアのテーラリング技術や服作りのセオリー、ミリタリーやワークウェアに備わる削ぎ落とされた機能性など、
さまざまなルーツを紐解きながら作り上げられる。そんなYLÈVEの服に宿るのは、“仕様美”。
目を引くための装飾的なデザインはなく、細部まで意味を持ったデザインが散りばめられている服は、人が袖を通し、身体を沿わせることで、
はじめてムードが浮かび上がる。
いつどんなシーンでも手に取りたいシンプルなTシャツや、ベーシックなニットなど、無作為に作れてしまう定番のアイテムも、立体的なパターンやニットの目面の美しさ、糸とゲージの相性を吟味して、物静かで上品な佇まいに。
メンズライクなワークやミリタリールーツのアイテムは、あえて軽い素材使いで。
ジャケットは、メンズのテーラードジャケット工場で完成させる本格仕様。そこに女性の身体が入れば、逆説的な女性らしさが生まれる。
シーズンごとのムードが反映された服たちは、ルーツを逸脱したデザインをすることはなく、パターンの形状や素材の掛け合わせで構築していく。
1つ1つの服の主張はささやかでも、1つ1つを組み合わせることで立ち上がるイメージがある。カジュアルなものはきれいに。きれいなものはカジュアルに。
そうしてバランスを取り合いながら生まれるのが中庸の美しさ。
それがYLÈVEのものづくりの基礎となる。
ウィメンズウェアの目指すマニッシュなものづくりとは一線を画すよう、YLÈVEの作るジャケットはメンズのものづくりの手法で仕立てられてる。シルエットはメンズサイズのジャケットをオーバーサイズで着ているような適度なルーズさで、そこには着る人それぞれの“らしさ”を引き立てる余白が生まれる。
メンズウェアのセオリー通りに仕立てながらも、女性が着ていて違和感のないように、ジャケットの内容物のバランスや構成を少しずつ引き算していく。毛芯は薄く、肩パットは控えめに、きちんとした作りだからこそ素材使いは軽やかに。こうして仕立てられた細かなパーツ全てが集結したときに、YLÈVEのジャケットは完成する。