
フランスと日本にルーツを持つセラミックアーティストのAya Courvoisierが着こなすYLÈVEのジャケットとトラウザー。強さとしなやかさが備わった彼女のスタイルとYLÈVEの世界観と交差する。
Aya Courvoisier(アヤ・クヴァジエ) フランス人の父と日本人の母から生まれ、福島で育つ。パリの大学へ進学し、古着と骨董品のバイヤー・買い付けのコーディネーターなどを務めた後、2019年に拠点を東京に移す。現在はセラミックアーティストとして活動し、自身のアイデンティティを反映させたうつわやオブジェを制作。
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Jacket
Our Basic Jacket & Trousers
礼装のための洋服として、あるいは軍服として。ジャケットは、文化や社会背景に大いに影響を受けながら進化してきた。
洋服の起源、機能、意味を理解し、それらを尊重して再解釈する-それがYLÈVEのものづくりの考え方。ゆえにYLÈVEの作るジャケットは、男性由来のアイテムの成り立ちを損なわないように仕立てながら、メンズのジャケットをそのまま女性が着ているような佇まいを生み出せるように設計している。
それは、ただメンズジャケットのまま作れば叶うわけではなく、女性が着て馴染むように毛芯や肩パッドなど、パーツの素材感や量の調整から、表の生地の作りまで細部に渡ってバランスを整えていく作業を要する。女性のためのジャケットだけれど、女性のためだけのデザインにはしないように。そして、無理な足し算をしないように。
25AWでは90年代のムードを感じさせる強撚糸を用いた素材で作り、トリコチンという組織で織り上げている。膨らみがありながら程よい落ち感もあり、袖を通すと身体の動きに合わせて柔らかく動く。しなやかな女性の身体の根源的な美しさも強さも引き出してくれる一着。

レディースのジャケットに見られるような飾りボタンなどの意匠は極力使うことはなく、あくまでメンズジャケットをそのまま女性の身体に沿わせるように一つひとつのパーツを最適化させて落とし込んでいく。ボタンのサイズもクラシックなメンズジャケットの仕様を踏襲している。
上品な素材に合わせたいのは、古着のような雰囲気のピグメントダイのカットソー。上質さとカジュアルさ、堅さと柔らかさ、光沢とフェード。相反する要素を掛け合わせることでお互いの良さを引き立て合う。

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Jacket
Featuring Aya Courvoisier
Q. YLÈVEのジャケットを着用した感想を聞かせてください。
A. 着やすくて疲れづらい。それでいてきゅっと身体も気持ちも引き締まる感じがあります。着飾っているという感覚ではなくて日常的に羽織りやすい雰囲気だけれど、シュッとしたスタイルになるのが気に入っています。
Q. どんな時にこのジャケットを着たいですか?
A. 美術館に出かけるときやレストランに食事に行くときなど。普段から、アトリエにいる時にはカジュアルスタイルですが、出かける時には着替えてから行くことも多いです。
Q. 日常生活ではどんなスタイルを好んでいますか?
A. 制作をしている時間はメンズライクな服、カジュアルな装いがほとんどなので、それに慣れてしまったからかここ2〜3年はそういうアイテムをよく着ています。そこにあえてヒールを合わせたりするスタイリングが好みですね。あとは、よく自転車で移動するので軽いジャケットもよく羽織ります。風に洋服がなびく感覚がとても心地良くて好きなんです。
Q. 洋服を選ぶときのポイントはありますか?
A. ライフスタイルに似合うかどうか。ずっといいと思えるものかどうかを考えて物を選ぶようにしています。
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Trousers
Our Basic Jacket & Trousers
90年代のトラウザーをリファレンスとした2タックトラウザーは、ジャストウェストで、コインポケット付きの仕様。わたり幅の太さはあるけれど裾にかけてテーパードがかかっており、緩急のあるフォルムが生まれる。
あるいはメンズのチノトラウザーを女性がウエストをぎゅっと締めて履いた時の表情をイメージしたトラウザーも。オーバーサイズで履いている想定で、ポケット位置を調整したりワイドでルーズなシルエットや股ぐりの落ち感を調整した。
こんなふうに、YLÈVEのトラウザーはどれもメンズルーツなものではあるが女性らしく履けるバランスに仕立ててあるプロダクトごとに異なるルーツがあり、それぞれの特徴を削がないようにしながら、そこに女性の身体が入った時の最適なフォルムを追求していくのだが、それは女性らしい身体のラインを逆に強調しないように作るという逆説的な作業でもある。
こうして完成した洋服の一つひとつはとてもニュートラルでシンプルだけれど、それらが組み合わさった時にムードが立ち上がってくる。そこに着用者の個性を妨げない余白も残しながら。



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Trousers
Featuring Aya Courvoisier
Q. トラウザーを着用してみてどうでしたか?
A. このトラウザーだけに限らずですが、YLÈVEの洋服は着る人の体型や個性を生かしてくれるなと思います。決して大きすぎないしルーズ過ぎないシルエットなんだけど綺麗なフォルムが出るので素敵だなと。
Q. メンズウェアを着ることもありますか?
A. メンズウェアは普段から良く着ています。洋服をパートナーとシェアしているものもあるので、その時の気分の洋服を奪い合って着ていたりもしますね(笑)YLÈVEのトラウザーもメンズ由来のデザインだからか自分にとても馴染む感覚があって、毎日でも履きたいなと思いました。
Q. 制作のインスピレーション源はどこから?
A. 自転車に乗ったり散歩したりしている時に見た景色やその時感じたことなど、日常からのものがほとんどです。フランスにいた時には祖母と過ごしていたこともあって、祖母が持っていたジュエリーが自分の思い出の中に存在しています。そのジュエリーにインスパイアされた作品もありますし、バレエを習っていた経験から、身体表現におけるエレガンスなムードや身体を動かした時にスカートが揺れる表情だったりをイメージしたお皿も制作しました。ほとんど全ての作品が、自分の中から湧き出る思い出や感情から生まれたものです。
Q. フランスで過ごした経験が制作活動に活かされていると感じますか?
A. 古いもの、傷、などを活かしていくのがヨーロッパの考え方で、それは日本の美意識にも通ずる部分があるかもしれません。そして均整の取れたものの美しさもありますが、一つひとつが異なる表情を持つもの特有の美しさもあると私は感じます。それは自分がヨーロッパで過ごした経験などが大きく影響していると思うのですが、そういう自分なりの美の定義が制作活動にも反映されていると思っています。
Photography : Ryuhei Komura
Hair & Makeup : Kentaro Katsu ( SIGNO )
Interview & Art direction : Yukina Moriya ( nemos Inc. )

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