A DAY WITH Y

Vol.10 高木千智

スタイリスト

すっと手を伸ばしたとき、そこにある服。
なんてことない“普通の服”だけど、
なぜかいつも着てしまう。

〈Y〉が提案するのは、そんな服です。
日常にそっと寄り添いながら、
そのひとの個性と結びつく。

じゃあ、このブランドの服をまとうのは
どんなひとなのか?

デザイナー・田口令子と、
アドバイザー・金子恵治氏が、
〈Y〉を着るひとのもとを訪ねます。

じゃあ、このブランドの服をまとうのはどんなひとなのか?
デザイナー・田口令子と、アドバイザー・金子恵治氏が、
〈Y〉を着るひとのもとを訪ねます。

モデルに合わせて、現場で丁寧につくり込んでいく。

ー高木さんがファッションを意識しだしたのは、いつ頃からなんですか?

高木:小さな頃から意識していて、いとこのお姉ちゃんとか、親も服好きだったんです。思い返せば、小学生の頃から服を買うためにお金を貯めてましたね。当時からフレンチカジュアルのブランドを着ていました。そこからいろんなジャンルの服を着るようになって。それこそ、ギャルやBガールも通りましたし(笑)。

金子:当時の写真があったら見てみたいですね(笑)。

ー意外ですね(笑)。スタイリストになろうと思ったのは、やっぱり服が好きだったから?

高木:私はゼロからものをつくるのがすごくニガテで、どちらかといえばコーディネートを考えるのが好きなんです。高校生のときに、たまたまスタイリストに関する漫画を読んで「こういう職業があるんだ」というのを知って。ただ、親が絶対に大学には行けって言うから、仕方なく短大に通うことになるんですけど。

ーそれで卒業後にファッションの世界へ足を踏み入れるわけですね。

田口:ニューヨークに留学もしてましたよね?

高木:晴れてスタイリストになったんですけど、独立して3年くらい経ったあとに、「もうやだ!」ってなっちゃったんですよ。それが2010年代のはじまり頃。当時の女性誌って、めちゃくちゃ分厚くて、1ヶ月に60ページとか担当していたんです。

ーそれをひとりでやるとなると、かなり大変ですよね。

高木:同じことの繰り返しだなと思ってしまって。それで逃げるようにニューヨークへ行ったんです。

田口:現地でスタイリストの仕事をしようとは思わなかったんですか?

高木:結局3年くらいいたんですけど、最初は学生のビザで入国して、途中から切り替えて古着屋で働いたり、最後の1年はスタイリストのアシスタントもしたんです。そうしたら楽しくなっちゃって(笑)。「やっぱりスタイリストやろう」と思って帰国したんです。

ー東京とニューヨークでは、生まれてくるスタイリングはもちろん、そもそもの仕事の仕方とかも違いそうですよね。

高木:全然違いましたね。東京で私がやっていた仕事はスピード勝負みたいなところがあったんですけど、ニューヨークではすごく丁寧な仕事をする方のもとで働かせてもらったんです。一度服を着せて、バランスを見て、そこにジュエリーを付け足していくような感じ。はじめからガチガチに固めるのではなくて、モデルのキャラクターに合わせて、現場で丁寧につくり込んでいくんです。それがすごく勉強になって。

金子:ニューヨークだと景色もやっぱり違うから、撮影するのが楽しそうですよね。

高木:そうなんですよ。本当に映画のワンシーンみたいな写真が撮れるので。

ー〈Y〉は日常的に着ているんですか?

高木:めちゃくちゃ着てますよ。とくにこのセットアップは暖かいし、仕事でも着るし、子どもの保育園の送り迎えでも着てます。今回着た服も全部好きですね。シルエットもきれいだし、サイズで遊べるところもいい。お世辞とかじゃなくて、本当に好きなんです(笑)。

ースタイリスト的な視点で見ても使いやすいですか?

高木:とても使いやすいです。やっぱり品があるんだと思う。私の好きなスタイリングがしやすいですね。帽子やバンダナを使って、きれいめなんだけど、ハズしたくなるというか。カジュアルなものはスラックスで小綺麗にしたりとかして。

田口:すごくうれしいです。

高木:持ってたら絶対に使いますよね。違和感がないんです。着せられている感じもまったくしないし。買っても着ない服ってあるじゃないですか。でも、〈Y〉はそうならない。むしろ「もともと持ってたんじゃない?」っていう感じ(笑)。

金子:そう感じるのは、機能的な服、道具的な服をベースにしているからだと思います。そこに田口さんの感性が加わって〈Y〉の服ができあがるんです。サイジングとかパターンの考え方にほどよいゆとりがあるというか、余白があるんですよね。

田口:あとは生地選びですよね。〈Y〉は制約されたカラー展開だから素材選びはもちろん、どんなトーンにするのか、きちんと選んでいるんです。

金子:制約されているからこその工夫というか。

田口:カジュアルな素材も選択肢には入っているんだけど、最終的には選ばなくて。ついつい手に取る服って、そういう細かなこだわりが詰まっているものが多い気がするんです。

ーさり気なさの積み重ねというか。

田口:そうですね。カジュアルウェアって、若い頃は簡単に着れたけど、年を重ねるとだんだん着れなくなってくるじゃないですか。それをうまくチューニングしたいっていう気持ちがあったんですよ。

高木:それはすごく感じますね。シンプルだからこそ奥深いというか。着るひとのパーソナリティも現れやすいからこそ、健康であるとか、服が似合う体型を維持したいなって思ってます(笑)。

〈Y〉をベースにして、メゾンブランドをさり気なく差す。

ー高木さんは、今後の目標や、やりたいことってありますか?

高木:お金持ちになりたいですね(笑)。

金子:おぉ! 直球ですね(笑)。

高木:家族と平和に暮らすために。娘もふたりいるから、いろんな経験をさせたいし、景色を見せたいです。あと、私はもともとハイブランドとかメゾンって興味ないんですけど、お金があったら買うのかな? って思ったことがあって。普段は時計もジュエリーもつけないんですけど、買うならいいものがいいですよね。

田口:娘さんが大人になったら、譲れますもんね。

高木:そうなんです。だから、もうちょっと幅を広げてみるのもいいかなって。おしゃれを頑張りたいですね。

ーそれによってまた新しい視点が加わりそうですよね。

田口:メゾンブランド買うっていう話も、一周まわっての着地というか、いまの高木さんの応用編ってことですよね。さっきのBガールの話じゃないけど、ぐるっと回って、いまのスタイルをどうアップデートするか、みたいな。

高木:だから、〈Y〉みたいなカジュアルウェアをベースにして、メゾンブランドをさり気なく挿す、みたいなことができたらいいなと思います。そういうバランスを自然に楽しめる大人になりたいです。まあ、もう大人なんですけどね(笑)。