A DAY WITH Y
Vol.5 高橋心一
Human Nature オーナー
すっと手を伸ばしたとき、そこにある服。
なんてことない“普通の服”だけど、
なぜかいつも着てしまう。
〈Y〉が提案するのは、そんな服です。
日常にそっと寄り添いながら、
そのひとの個性と結びつく。
じゃあ、このブランドの服をまとうのは
どんなひとなのか?
デザイナー・田口令子と、
アドバイザー・金子恵治氏が、
〈Y〉を着るひとのもとを訪ねます。
じゃあ、このブランドの服をまとうのはどんなひとなのか?
デザイナー・田口令子と、アドバイザー・金子恵治氏が、
〈Y〉を着るひとのもとを訪ねます。
美味しいワインには、
エネルギーが宿っている。
ー高橋さんがナチュラルワインを好きになったのは、どうしてなんですか?
高橋:はじめて飲んだのはイタリアへ旅行に行ったときなんですけど、単純にめちゃくちゃ美味しかったんです。友達がイタリアに住んでいたから、ぼくもちょくちょく遊びに行っていて。そのときに「ナチュラルワインって知ってる?」って薦められたのがきっかけですね。たしか2007年くらいの頃だったと思います。
ーイタリアに留学もしていたんですよね?
高橋:そうですね。日本で映像系の会社に勤めていたんですけど、辞めて留学をしました。それが2012年で、約1年居ましたね。
金子:それでどんどんワインのカルチャーにハマっていったわけですね。
高橋:単純に好きになっちゃって。ワイン好きな友達も増えたし、その縁でインターンもすることになったんですよ。いま思えば、すごくいい機会に恵まれていたなと思います。
田口:その過程の先にこのお店があるわけですよね。もともと店舗は持ちたいと思っていたんですか?
高橋:全然考えてなかったんです。大学もワーホリみたいな感覚で行ってたから、もう本当に興味の赴くままっていう感じで。日本に帰ってからは上京して、1年くらいフラフラしてたんですよ(笑)。それでお金もなくなってきたし、当時はナチュラルワインのお店も少なかったのでスタートしました。
ー高橋さんが思うナチュラルワインの魅力って、どんなところにありますか?
高橋:文字通り、ナチュラルに成立しているところですね。自然に生まれて、単純に美味しいし、生産量も少ないからマーケティングとかもない。本当に無理がないんです。
ー定義ってあるんですか? たとえば添加物が入ってないとか。
高橋:定義は人によってさまざまですね。畑でも醸造でも、何も入れない人のワインにぼくは感動することが多いです。
田口:ナチュラルワインって、私たちは新しく出会った感覚があるけど、高橋さんの話を聞いていると、もともとは全部ナチュラルだったんじゃないかって思いますね。その過程の中で農業や醸造に科学が入ってどんどん変わってきてしまったのかなって。
高橋:そうだと思います。いい環境で育ったブドウで、上手な醸造家が何も添加しないでワインをつくったら、素晴らしくイキイキしていて、エネルギーがあります。美味しいワインって、そういう力が宿っているし、つくった人の人柄が表れているんです。
ーエネルギーの宿ったワインというのは、やっぱり生産者の想いが込められているんですかね。
高橋:ブドウって基本的に養分もいらないし、水もほとんどいらない。もちろん、それに適した環境は必要ですが、土壌さえしっかりしていれば放っておいても勝手に育つんです。基本的には循環している自然の生態系があるので、その中で美味しいブドウが生まれるように、人間が本当に最低限の手を加えて丁寧につくってます。
田口:そうやって手を加えずに、自然のフローを大切にするところがいいですね。
高橋:ほとんどが田舎でつくられていて、生産者も自然が大好きで敬意を払っているひとたちばかりです。大量生産に対するカウンター的な考え方もあるし、たくさんあるワインの中に、こういうのがあってもいいでしょっていう感じですね。
着てみてすごくよかったし、
食わず嫌いだった。
田口:ナチュラルワインが自然のフローの中で生まれるのと、高橋さんが自然発生的にこのお店をつくった流れが、なんだか重なりますね。
高橋:行き当たりばったりですけどね(笑)。
ー基本的にはお店とご自宅の行き来が多いですか?
高橋:そうですね。あとは友達の家に遊びに行ったりとか、音楽を聴きにイベントへ行ったりすることも多いです。
ーファッションは、どんなスタイルが好きですか?
高橋:なんだろう。正直なところ、そこまで考えてなかったんですよ(笑)。お店にファッション関係のお客さんもよく来られるんですけど、その方々と話しているうちにだんだん興味が湧いてきた感じです。
ー〈Y〉の服を着てみていかがでしたか?
高橋:シルエットがすごくいいなって思いました。このパンツとかも、ワイドなんだけど綺麗に見えるというか。
金子:しっかりとそうなるようにパターンを引いてますもんね。ワイドなシルエットでも、田口さんが手がけると、立ち姿が綺麗になるんです。すごく大人っぽいですよね。
高橋:ぼくはナイロンの白いパンツがもともと好きなので、ほぼ毎日のように穿いていますね。ウェストにドローコードがついていて、穿いていてラクなのも大きいです。
田口:これはアウトドアブランドのスイムショーツがリファレンスになっているんです。
高橋:あとはポケットがいっぱいあるのもいい。財布やケータイが入れられるし、たくさん入れるとシルエットに影響がでるけど、このショーツはそうならないですね。
ーちょっとした気遣いですが、あるとないとでは大きな差が生まれますよね。
高橋:着てみて、しっくりきましたね。シンプルな服って着やすいのは理解できるけど、無個性になりがちじゃないですか。でも〈Y〉の服はただシンプルなだけじゃなく、こだわってつくられていることを実感しました。
ー〈Y〉の服は、いまの気分にフィットするヴィンテージを金子さんが持ってきて、それを参考に田口さんが現代的に解釈してデザインしているんです。
田口:ナチュラルワインはあまりひとの手を加えないっていう話がありましたけど、〈Y〉に関してもそうなんです。サステナブルな生地を使ったり、ディテールも余計なものは加えないようにしていて。いい意味で肩の力を抜いたデザインにしているというか。
金子:足し算はせず、どれだけ引き算ができるかを考えてますよね。
田口:デザイン上で足していく作業はないですね。ただ、ユニセックスなのでサイズやシルエットにはすごくこだわってます。S、M、Lの展開なんですけど、それぞれサイズピッチが違うんです。いろんなひとが着られるように、みんなのちょうどいいを探っているというか。
高橋:その塩梅が難しそうですよね。
金子:ミリタリーウェアも、いろんな体型のひとが着られるように考えられていて、まさにそういう感じですね。だけど〈Y〉の場合はカジュアルウェアだから、フィット感を高めるというよりは、もっと自由な発想で着られるものを目指しています。フィッティング中もああだこうだ言いながら、いい塩梅を模索してますね。
高橋:自分はそういう服をあまり選ばないと思ってたけど、着てみてすごくよかったし、食わず嫌いでしたね(笑)。
音楽やお酒、食事が好きな
ひとたちが集まれる場所にしたい。
ー「Human Nature」は、どんなお客さんが多いですか?
高橋:本当にいろんなひとたちが来てくれますね。だけど、もっと幅広いひとにナチュラルワインを楽しんでもらいたいと思ってます。もともと大衆的でオープンなつもりではあったけど、そういう感覚をより強めたいですね。
ーもっと間口を広げると。
田口:でも、ナチュラルワインって定着しましたよね。
高橋:そうですね。きっかけは色々ですが、一般的なワインとの違いを感じたり、単純に美味しいからリピートしてくれるひとは多いです。
ー今後、お店はどうしていきたいですか?
高橋:ワインのセレクトもいままでと同じように、みんなが知らないワインを仕入れたいと思ってます。あとはサウンドシステムもちょっとづつ良くなってきているので、音楽やお酒、食事が好きなひとたちが集まれる場所にしたいです。それでいい思い出をつくっていきたいですね(笑)。
